母を待つ子

年始の街の夕暮れ。

駅近くの、大きなビルの中にある、簡素な共有スペースにて、ちょっと良い服着た小さな男の子が一人でドリルをやっている。

ここでドリル?って事と、
その小さな後ろ姿が、大人向けの背の高い椅子と不釣り合いで、なんか気になった。

18時頃。

僕は次の予定まで1時間程空いてしまい、立ち尽くして連絡を待ちながら、移動すべきか、連絡がなければコーヒーでも飲みに行こうか?と考えていた。

そのうち子供は疲れからか、ドリルに突っ伏して頭こすりつけてムニャムニャしている。
たぶん眠たいのだろう。。

あれ、ママはどこにいるのかな?と、気になってきた私。

多分、子供は4〜6歳位。冬で辺りは真っ暗なこの時期に、いくら街中だと言っても、一人で放っておく事はないだろう。
と思いつつ。

チラチラ見ていた。

10分、20分、母現れず。。

僕は、なんだか、その子があわれに思えてしまい。

空いていた席、彼の隣、一つ空けて腰掛ける。

腰掛けて改めてあたりを見ると、年始の夕暮れで慌ただしく行き交う人、人。

誰一人こちらを気にしている者はなく。
共有スペースと言えども半分は外なので、足元から底冷えがする。

彼の前にあるドリルを見ると、、
平仮名で自分の名前を何度も書きつけている。

これは、ドリルではないなぁ。。

目の前にはホットのお茶もある。
母親が置いて行ったものか?子供は自分でお茶は買わないだろう。と推察する。

しかし、かなり待ってるんだなぁ、と思う。

母を待つ子。

こういう時はどうしたらいいもんか?
声をかけて、変なおじさんになるべきか。
見守るべきか?
。。警察に言うほどの事じゃないだろうし。。

僕も次の連絡がないので、そこから移動したかったが、子供がなんだか気になって動けない。。

声をかけてみる事にする。

ーねぇ、ママ待ってるの??

。。。、
うん、、用事があって30分待つの。

ーそうなんだぁ。

じゃ、俺も腹を決めて一緒に待つ事にする。

だれも振り向かない。
都会の共有スペースで、
子供が一人、一つ空けて、
関係ない、おっさんが一人。

冷たくコツコツと時間が過ぎて行く。

数十分経ち、ママが現れた!
両手に買い物袋を抱え忙しそうだ。

どう?ドリルどこまでやった??
子供は、。。、

何も応えない。。

多分、不安や孤独から解放されて、何も話せなかったんじゃないのかなぁ。。

ママも忙しかったのかな?

でも、子供はものすごく不安だったろうな。

荷物をまとめて、手を繋いで駅に向かう二人。

僕は、子供の小さな背中をそっと見送りました。

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